輪転室の扉を開けて奥の機械。
輪転2号機オペレーター室。
そこに、彼はいた。
鎌田祐輔。
入社して1年、真摯に輪転での仕事に向き合ってきた。
毎朝家に届けられる新聞の折込チラシはどうやって生まれているのか。
輪転現場で働く鎌田の1日に、密着!
朝9時。すでにそこには鎌田の姿があった。
ー輪転ではいつもどのように仕事をしていますか?
「機長(オペレーター)と助手の2人1組で作業を行っています。僕は主に助手の仕事をやらせてもらっています。」
ー作業内容について教えてください。
「まず予定表を確認し、準備を行います。予定に沿った輪転紙(大きい輪転用の巻紙)と版をセット、アームの準備をし、吊り札(品名や結束数、積み数など何をどのくらいどのような状態で用意すればいいか記載したもの)などを確認します。ロボットに確認した数量を入力すると、自動的にパレットに製品を積んでくれるので、最初はそこまでやりますね。」
「紙をセットする際は、紙の横に傷が無いか必ず確認しています。少しでも傷があると紙が破れてしまい、機械を止めて紙を通し直さなければいけません。そういった時間のロスを減らすためにも傷を見落とさないように確認は怠りませんね。」
「版はセットする前に1度機械に通して版曲げを行います。版曲げをすると平面の版の両サイドが折り曲げられ、輪転機にセットできる状態になります。」
「準備を終えたらいよいよ刷り出しに入ります。刷り出しの際は5000部ごとに抜き取りを行い、刷り出されたものに傷や汚れ等が無いかを確認します。確認は自分の目で見て抜けが無いように気を付けています。お客様の信用に関わるので、細かいところまでチェックしています。また、刷り出し途中で紙が無くなることが多いので、その都度紙はセットしますね。刷り出されたものはロボットによりパレット上へ積まれていきます。」
「その後はラップや板締めといった作業を行い、それぞれの出荷場にもっていくという流れになりますね。基本はこの準備、刷り出し、出荷場へ…という作業の繰り返しになります。」
「刷り出すものはチラシが多いですね。あとは製本用の印刷物を刷り出すこともあります。自分がよく一緒に組むオペレーターの人とは、いい関係が築けていると思います。」
仕事をする上で、鎌田が大切にしていることがある。
「細かい雑用を任されることもあるのですが、雑用というか…簡単な仕事を任されることがあっても手を抜かないことですね。そういう仕事がきちんとできてこそ自分の仕事も自分の仕事もきちんと出来るものだと考えているので、どんな些細な仕事でも手を抜かないようにしています。」
いつでも決して手を緩めない。
これが、鎌田のこだわりだ。
そんな鎌田にも心和らぐ瞬間がある。
「そのときの気分ですが、車の中でラジオを聞いたり、音楽を聞いて歌いながら帰ったりもしますね。お気に入りは桑田佳祐やサザンオールスターズです。帰ったあとはビールを飲んで、猫がいるので戯れたりします。ビールを飲む。そしてまた、明日も頑張ろう、という。」
今に全力、しかしその目は常に明日を見据えている。
そんな鎌田に、聞いてみた。
「…宇宙、ですね。」
「ありがとうございました。」
そう言い残し、鎌田は自分の業務へ戻っていった。
終
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※プリンティング松下の流儀は2ヶ月1回更新の連載記事となります!次回もお楽しみに!